目指すは5階
活気のある、お昼時の神田の街にやってきました。
通りを抜けると、目当てのビル「安田シーケンスタワー」が見えてきます。そう、工事真っ最中のJINSの新オフィスとなる建物です。
今日は、連載「たった2キロの長い旅。」編集部のメンバーで、途中の様子を見学させてもらうことになりました。
「お邪魔します」
足を踏み入れてみると、お昼時ということもあり、作業は中断中。ガランと静かな空間が広がっています。1階は、オープンカフェ・ライブラリーとなる予定の場所ですが、作り込みはまだこれからのようです。
そのままエレベーターに乗り込み、5階を目指します。
それというのも、新オフィスの目玉でもある「吹き抜けの内階段」が完成間近だというので、近くで見せていただくことになっていました。紆余曲折を経て設置が決まったものだけに、期待が高まります。
エレベーターのドアをくぐれば……
昨年の7月に訪れた際の5階は、まだ着工前でカーペットの敷かれた床がただどこまでも広がっている景色でした。
いったい、その景色はどのように変わっているのでしょうか?
エレベーターが開きます。
目の前にデデン!と現れた、階段の真っ白な壁(側面)。
「……わあ、とっても大きいですね!!!」
想像していた以上の存在感に、思わず口々に声をあげてしまいます。違う角度からも覗いてみましょう。
フロアの中央をくり抜き、メインの執務スペースとなる5〜8階が吹き抜け状態になっています。
さらに「キャンティレバー構造」といって、一端のみで固定されているデザインのため、踊り場が宙に浮いているような、なんだか不思議な印象を受けます。
兎にも角にも、圧倒されてしまうようなその佇まいは、いくら眺めていても飽きることがありません。
壊しながら、つくる(造る・創る)
これまで引っ越しのたびに持ち上がってきた、この「内階段構想」。
広い面積を要し、また床面をくり抜いてしまうために原状回復のコストがかかることが、毎度諦めざるを得なかった原因でした。
しかし、今回の引っ越しの最大の目的は「ベンチャー魂を取り戻す」ということです。面積減少やコスト面と達成したいものを天秤にかけ、最終的にこの「内階段」はいまのJINSにとって必要なものである、という判断がなされたのでした。
そう、この内階段の役割は、エレベーターの混雑を軽減させるための「ただの動線」というわけではありません。プロジェクト立ち上げから原案として決めていた、新オフィスのコンセプト「壊しながら、つくる」。この内階段もそれを体現したものの一つなのです。
床や天井を思い切って「壊して」挿入される、4フロアにまたがる執務エリアを一つにつなげてくれる階段には、会社が一体となれるようにという思いが込められています。
さらに、この開放的な吹き抜けは、違う階にいる人とお互いの気配を感じながら仕事をすることができ、ビル全体の一体感の創出や、社員が同じ方向を向いて進んでいくためにも一役買ってくれる仕掛けとなっているのでした。
「そういうことか」
と深く納得する我々の声も、フロアにふわっと広がって響きます。
また、設計者の髙濱さんによれば「壊しながら、つくる」のつくるには、建てるといった意味の「造る」だけではなく「創る」という意味が込められているとのこと。「Open Art Tube」と名付けられたこの吹抜けには、内部階段に加えてこの空間に合わせて制作されたコミッションアートなども設置される計画となっており、まだまだ完成へ向けて魅力を増していくそうです。
工事もいよいよ佳境といったところ。この階段を囲み、コミュニケーションを取り合うみなさんを想像するとますます完成が楽しみに。そんな日に思いを馳せながら、チームは新ビルを後にするのでした。
「断捨離」を経て、いよいよ
そして一方、後日、飯田橋の現オフィスを覗くと、こちらも着々と片付けが進んでいました。美しく並べられていたメガネのサンプルたちも、すでにいまは箱のなか。
順調にダンボールが積み上がっていき、まだどこかで「手が足りない!」となれば、みなで協力して進めます。
そして、この機会に次のオフィスに持って行かない不要なもの、余っているものを有効活用すべく、全社で「断捨離会」なる催しも行われました。
高機能椅子やエアヴィーヴ、Apple Watch、空気清浄機、モニター、玉砂利(!)など、さまざまなものが「出品」され、抽選で番号を呼ばれた人から好きなものを取っていくという形式です。思わぬお宝の獲得に大喜びをする人も。それぞれが、次の持ち主のもとへ旅立っていきました。
なかには、「いつも使っている自販機に飲み物を買いに行ったら、買えなくなっていて、いよいよ引っ越しを実感した」という声も。
9年間過ごしたこのオフィスから去るときが、まさに「いよいよ」というところまで近づいているのです。
始まる、ということは、終わりもある、ということ。
もちろん前向きな旅立ちですが、この景色が見れるのも最後と思えば、やっぱり寂しいものです。
それぞれが、それぞれの方法で現オフィスに感謝とお別れを告げていました。
「次」の始まりは5月末。
なんと言っても、5月末には新オフィスへの入居が決まっています。1ヶ月後にはどんな景色が広がっているのでしょうか。
入居までしばらくの間、社員はリモートかシェアオフィスに切り替えていきます! 続報をお楽しみに。