真っ赤に全面ラッピングされた「JINS GO」。街ゆく人々の目を引く、JINSの移動販売車です。
移動販売車のプロジェクトがスタートしたのは、2021年。店舗での交流が充実してきたタイミングのことです。
2021年、JINSは佐賀県への出店により、すべての都道府県で商品とサービスを提供できるようになりました。「全国にJINSの商品を届けたい」という目標を達成することができたのです。
それだけではありません。JINSは、地域との共生をサステナビリティ活動において重要と考え、店舗を起点とした取り組みを進めています。同じく2021年に創業の地・群馬県前橋市に地域コミュニティのハブとなることを目指した施設「JINS PARK」をオープン。地域の方々が気軽に集まれる施設をつくりました。

こちらが「JINS PARK」
店舗を起点に地域の方と出会える環境を充実させてきたからこそ、まだまだ店舗だけではつながりを持ちづらいお客さまがいらっしゃることに着目。ちょうど世の中がコロナ禍ということもあり、お客さまとの関わり方を考え直すことになりました。
もっと多くの方々と出会い、「見えるよろこび」を届けたい。そして地域との交流を深めていきたい。そのために、何ができるのか。その結論のひとつがJINS GOだったのです。
これまでもJINSはメガネ業界の常識を変えてきました。レンズ代込みの価格で販売したり、即日お渡しできる仕組みをつくったり……そうして支持を受けてきた会社として、考える視点を変えたのだと、プロジェクトを率いる廣田健夫はいいます。

廣田「これまで、お客さまにわざわざ来店してもらっていたんですよね。外出や遠出が難しい方々がいるのであれば『今度はJINSが、自分たちからお客さまのもとへ行きましょう!』という思いがありました。その思いは『JINS GO』というネーミングにも反映されています」
ご高齢の方や障がいのある方、店舗が近隣にない方々にとっても、お役に立てるブランドでありたい。地域とのよりよい関係を目指して、JINS GOのプロジェクトは走り出しました。
廣田「たとえば社会福祉施設や、イベント会場に出向いて、地域の方々と交流したい。ただメガネを販売するだけではなくて、お客さまの『御用聞き』からはじめたいと思っています。会いに行って、何が求められているのか、何ができるのかを考えるところから、つながりが深まっていけばいいなと」
単に移動販売を行うだけでなく、地域の方々と交流を増やしたいという思いも、JINS GOには乗せられています。

インパクト大のデザイン、細部まで計算された車内
熱い思いを表現すべく、デザインは徹底的に検討を重ねました。車両デザインは設計チームの萩原祐子が担当。マイクロバス型の車両をベースに開発しました。外装はブランドカラーである赤で全面ラッピングした上に、白でJINS GOのロゴを大きく配し、JINSらしいシンプルさと力強さを表現。一方、内装は木材をふんだんに使ったあたたかみのある雰囲気となっています。


今回の設計には、これまでにない難しさがありました。通常店舗と比べて10分の1ほどの限られた空間の中に、通常店舗と同じ機能をどう盛り込むか。必要機能を満たしつつ、窮屈さを感じさせないよう、ミリ単位で細かく調整を行いました。走行中に視力測定機をどこにどうやって固定するのかなど、問題は山積み。何度も実際に車を確認しながらディテールを詰めていったといいます。
萩原「社外のデザイナーや、改造をしてくださる架装(かそう)会社の方々と一緒に、デザインを実現させるために打ち合わせをしているときが、いちばんワクワクして楽しかったです。こんなにディテールの細かい架装は初めてだ、と驚かれるくらい、妥協のない1台ができました」

改装中の様子
こうしてできあがったJINS GO。廣田は完成した実物を見たときのことをこう語ります。
廣田「足を踏み入れたとき、車内にいる感じがしなかったですね。僕は身長が165cmくらいなんですが、かがまなくて大丈夫なんです。動線もしっかり考えられています。限られた空間だからこそ、フレームを選んで視力を測って……という流れがスムーズで、お客さまにもわかりやすい売り場になったんじゃないでしょうか」

車イス昇降機付き専用車両を改装しているため、車イスのまま車内へ。車イスでも入れる広さが確保されている
社内公募で店長を決めたワケ
JINS GOの店長を誰に任せるのか、これも大事なポイントのひとつです。
廣田たちプロジェクトメンバーは、社内公募をすることにしました。通常、JINSの店舗の店長人選にはない、異例のことです。
廣田「最初はこちらから指名して打診することも考えました。ですが、自分からJINS GOで出向き、その地域のために何ができるかを考えて動いてくれる人にお願いしたかったんです。だからこそ、公募というかたちにしました」
そこで手を挙げたのが、JINS GOが走る群馬県出身の茂木亮輔でした。入社9年目、群馬県内の店舗で7年ほど店長として働いてきた経験のある社員です。

茂木「店長としても経験を積んで、何か新しいことにチャレンジしたいと考えているタイミングだったので、担当することができてうれしいです。店舗のようにある意味で完成された仕組みの中で仕事をするのではなくて、イチからつくりあげられる点にすごく魅力を感じました」
常に挑戦しようとする「JINSマインド」を持つ茂木さんなら理想的な人材だ、と廣田たちJINS GOチームはよろこんで彼に任せました。
店舗と同じ価格で、豊富なラインナップを乗せて
JINS GOでは、通常店舗と同じ価格でメガネを購入することができます。さらに即日のお渡しも可能です(レンズの種類によっては即日お渡しできない場合もあります)。店舗と違い、積むことができる荷物の量が限られるJINS GOで、いかに商品を充実させるか。
オペレーションは、プロジェクトメンバーの須田真宗が茂木とともに担当しました。通常はシリーズ単位で品揃えを検討するところ、1本単位で細かく検討し、メガネフレームを200本セレクト。バリエーション豊かなラインナップを実現しました。またフレーム選びを楽しんでもらえるよう、フォルムごとに分類して並べることで、自分の顔に合う眼鏡を探しやすくなっています。レンズも過不足のないようにさまざまな度数を細かく枚数調整をして、準備してきました。

初稼働時、実際にお客さまにメガネを選んでいただいている場面
茂木「須田さんと話し合って、いいセレクトができたと思います。店舗で接客をしていてよくお客さまがおっしゃるのは、『自分に似合うメガネがわからない』ということなんです。探しやすいように分類していますし、コンパクトな店内ではスタッフとの距離も近くご相談していただきやすいはず。それからラインナップは今後お伺いする場所や時期に合わせて、少しずつ変えていきます。定番から、いま人気のシリーズまで、しっかりとお届けしたいですね」

JINS GOで「GO」する人を増やしたい
会いに行く、JINS。店舗と同じメガネや機材が積まれているこのJINS GOだからこそ、震災などの災害時にもすぐに行動し、お客さまに最短で「見える安心」を届けることができます。また、地域のイベントには積極的に参加していくつもりです。
いま、お伺いできないかとご相談しているのが、日本一高齢化率が高いとされる群馬県南牧村です。人口1600人のうち6割以上が高齢者のこの村にはメガネ屋さんがありません。JINS GOがお役に立てれば……と話し合いを重ねています。
廣田「ものが見えにくいと、行動範囲がせまくなってしまいますよね。自然と興味を持つこと自体が少なくなってしまう。クリアに見えると、やっぱり興味が広がるんです。だからこそJINS GOで多くの人に『Magnify Life』をお届けしたいですね」
JINSのビジョン、“Magnify Life(マグニファイ・ライフ)=人々の生活を拡大し、豊かにする”。JINS GOで私たちが会いに行き、新しいメガネがお客さまの動き出すきっかけになれたら、と願っています。
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JINS GOは、関東近郊に、お呼びいただけましたら出動します。
あなたの街にも、ぜひお伺いさせてください。
訪問をご希望の施設や団体、自治体のお客さまは、下記の公式サイトよりお申込みください。
https://www.jins.com/jp/jinsgo/
