JINSでは以前から、子どもたちや保護者に対して、目の健康を啓発したり、視力や光についての学習機会を設けたり、見ることの楽しさに気づいてもらうための活動「見る育」を行っています。その一環として、アートワークショップはスタートしました。
このアートワークショップは、群馬県前橋市と、愛知県岡崎市にあるJINSの地域共生型店舗にて、それぞれ年に数回のペースで開催しています。講師は、開催地にゆかりのあるアーティストたち。これまで毎回違うアーティストに講師を務めていただき、さまざまなワークショップを行なってきました。おもに小学生を対象にした、無料で参加できるイベントです。
どちらの会場でも、子どもたちはアーティストと一緒に手を動かして、目を輝かせています。
なぜメガネのJINSが、アートワークショップを開催しているのか?
メガネ屋さんという場所で、アートワークショップ。一見、あまり関連性のなさそうなイベントのように思えますが、そこにはJINSのビジョンや未来へのまなざしがあります。アートワークショップの運営を担当する秋本は、その理由をこう話してくれました。
「わたしたちJINSのブランドビジョンは 『Magnify Life(人びとの人生を拡大し、豊かにする)』というもので『いつもと世界がちがって見える』きっかけを提供したいと願ってきました。アートにはそのきっかけになる力があると考えています。近年、アーティストが作品を生み出す過程において、どういった視点で物事を考えているのかに着眼した、“アート思考”という言葉がビジネスや教育の分野でも注目されるようになりました。未来を創造していく子どもたちに、アートによって新たな視点を見つけて、『いつもと世界がちがって見える』体験をしてもらえたらうれしいですね」
メガネの開発・販売だけにとどまらず、「見る」ことを通して、人びとにこれまでにない体験をもたらすブランドでありたいというJINSの思いが、アートワークショップにつながっています。
「JINS PARK」の文字を消す? ワークショップのねらい
では、実際にどんなイベントを行なってきたのか? これまでのワークショップのなかから、群馬県前橋市にある店舗「JINS PARK」での「JINS PARK を消そう」を紹介します。
このワークショップでは、まずひと文字ずつ紙に大きく書き出したJINS PARKのロゴを用意。アーティストの村田峰紀さんとJINSのスタッフが、グラファイトクレヨン(鉛筆の芯の素材でできたクレヨン)でひと文字ずつ書き出して準備しました。
その文字を、消しゴムや修正テープ、修正液などを使って「消す」のが本番。子どもたちは、大きな文字をいろんな方法で消していきます。秋本いわく、このワークショップには、こんなねらいがあったそうです。
「企画の段階からアーティストの村田さんは子どもたちに『消すってどういうことなんだろう』と感じて考えてみてほしいとおっしゃっていました。いま、パソコンなどで文字や画像を消す作業って、一瞬ですよね。アナログ的な『消す』という行為がとても少なくなってきています。そこで対象を大きくすることによって、消す時間をより長く経験してもらおうと意図して開催されました。子どもたちには、消しても消しても消えないおもしろさを味わってもらいたいという思いでした」
いろんな消し方を試して、消しながら模様をつくって楽しむ子どもたち。なかには、大量の消しゴムのカスをビニール袋に詰めて持ち帰るお子さんもいたといいます。
「大人から見たらゴミと思ってしまうものも、参加した子どもたちからすれば、自分が消した証であり宝物なんです。もしかしたらその消しカスこそ、文字を消したことで生まれた作品なのかもしれない。『消す』というアートを通して、新たな発見をしてもらえたんじゃないでしょうか」
地域とともに生きるJINSとして。
JINSには地域共生を通して、持続可能な社会づくりに携わりたいという思いがあります。地元との縁を深める役割も果たすアートワークショップも開催されました。
愛知県にある「JINSイオンモール岡崎店」には、約1,500冊の書籍を備えるコミュニティスペースがあります。地域共生を目指した店内には地元・岡崎の間伐材も使用した約550個の木箱をメガネの商品棚や本棚、ベンチとしてさまざまな場所に設置しました。岡崎市は、市の土地の約60%が森林。そんな地元の豊かな自然を活かした空間デザインとなっているのです。
「地元の間伐材がJINSの店舗で使われていると知った岡崎市の森林課の方々とも交流が生まれて、森林に関係するワークショップも開催したんですよ」と秋本。
そのアートワークショップが「森のランプをつくろう」です。
JINSのスタッフは、アーティストと岡崎市の森林課の方々と一緒に、市が所有している森林へ。みんなでさまざまな植物を採集し、お店のバックヤードで乾燥させたら準備OK。
ワークショップ当日は、採集してきた葉っぱを紙の下に入れて上から色鉛筆などで塗り、葉脈などを写し取る“フロッタージュ”を子どもたちに体験してもらい、それをランプとして完成させました。
「地域共生を目指して、地元の方々と一緒にいろんな取り組みにチャレンジしていきたいと思っています。アートワークショップなどの“見る体験”は、新たなつながりを広めていく場にもなっているんです。地元の方々とつくりあげるワークショップで、地域の未来を担う子どもたちの成長にほんの少しでも役に立てたら、こんなにうれしいことはないですね」
「いつもと世界がちがって見える」を届けたい。
JINSのアートワークショップは、はじまって1年ちょっと。内容も試行錯誤しながらどんどんアップデートしています。秋本ははにかみながら、運営側の変化についても教えてくれました。
「“正解を求めない”ことを、JINSとしてもアーティストさんと子どもたちから教わっています。大人になると、正解を求めなきゃいけないと思いがちですよね。ですが、子どものころはもっと自由な発想があったはずなんです。だからこそ、いまの子どもたちには誰も点数をつけない場で、自分がいいと思ったものを自由につくる体験をたくさんしてほしい。
アーティストさんたちのアドバイスもあり、ワークショップでは見守るわたしたちスタッフも『上手だね』など子どもたちを一方的に評価するような声掛けはしないように心がけています。手探りなことばかりですが、わたしたち運営側も、アートワークショップを通して『いつもと世界がちがって見える』体験をさせてもらっています」
JINSは今後も“見る体験”を提供する場づくりを長く続け、子どもたちに「いつもと世界がちがって見える」体験を届けていきます。
【今後のアートワークショップの予定】
JINSイオンモール岡崎店
11/26(土)
アーティスト:荒木由香里さん
JINS PARK
12/4(日)
アーティスト:竹村 京さん
詳細や参加方法が決まりましたら各店頭にてお知らせします。