燦々と陽が降り注ぐ、朝の公園。「あれなに?」「なんだろう?」と子どもたちが眺めているのは、色とりどりの雲の形のカードで覆われた、何やら不思議な車です。
これは、JINSが取り組んできた「もっと外遊びプロジェクト」の1年以上をかけた集大成。第一弾の施策として進めてきた、プレーパークせたがやさんに寄贈するプレーカーが完成したのです。
お披露目会の場所に選んだのは、濃い緑の木々に囲まれた世田谷区玉川野毛町公園。ここもプレーパークせたがやさんの活動拠点のひとつです。ジージーと蝉たちが大合唱するなか、「こども広場」と呼ばれる場所に、プレーパークせたがやのスタッフさんと地域の親子総勢35名が集まってくれました。いよいよお披露目のときです。
最初にみなさんに声をかけてくれるのは、プレーパークせたがやのスタッフ、まっく(竹中和美)さん。
まっく「今日はこれまでと違う車で来ました〜! みんな気づいたかな? これはメガネのJINSさんが寄贈してくれた新しいプレーカーです! みんなでこのたくさんのカードを剥がして、新しい車のデザインを見てみましょう。手伝ってくれる人〜!」
勢いよく「はい!」「はい!」と子どもたちの手が挙がります。そして、まっくさんの「よ〜いドン!」という合図とともに車に駆け寄る子どもたち。口々に「とれた!」「赤色剥がしたい!」「なんか見えてきた!」と楽しい声が飛び交います。
そして、なんとたった40秒ほどですべてのカードが剥がされ、プレーカーの全貌が明らかとなりました。
車体に描かれているのは、フィリピンを拠点に世界的に活躍するイラストレーター、Blok(Mark Magnaye)さんが今回のために描き下ろしたオリジナルデザインです。
サッカーやじゃんけんといった子どもたちに親しまれている遊びや、コマ回しやだるま落としといった日本の伝統的な遊び、そしてメガネをかけた子どもの目を通して、幻想的で楽しい光景が浮かび上がっているシーンが色彩鮮やかに表現されています。
まっくさんが車体を指差し、「みんな、これ何かわかるー?」とたずねると「だるまー!」「だるま落としー!」と子どもたちが元気よく返事をしてくれます。中には「だーるまさん、だーるまさん♪」と歌を歌いはじめる子の微笑ましい姿も。まずは車のデザインを楽しんでもらえたようで、ひと安心です。
しかし、プレーカーのお披露目はこれだけでは終わりません。
実は、子どもたちに剥がしてもらった雲の形のカードの裏側にはそれぞれイラストがプリントされていて、神経衰弱の要領で同じ絵柄を集めた人には外遊びにぴったりのプレゼントを用意していました。
みんなで集合写真を撮ったあとは、いよいよプレーカーの中の遊び道具を使って、実際に子どもたちに遊んでもらいます。
プレーカーから順に積み下ろして親御さんや子どもたちも協力しながら、それぞれの遊び場を作っていくのです。よく遊びに来ているという子どもたちは慣れたもの。
さっそく、けん玉や竹とんぼといった昔遊びをする子、陽の光いっぱいのビニールシートの即席図書館でのんびりする子、ボール落としをして遊ぶ子……。中でも、屋外でしかできない遊びはやはり大人気です。木の囲いとビニールシートで作った手作りのプールに駆けていった子どもたちは、頭からホースの水をかぶって全身を使って遊んでいます。
他にも大人といっしょに火を起こしてトウモロコシを焼いたり、水鉄砲遊びや、草や泥を使ったおままごと、うちわの骨を使ったシャボン玉遊び——公園だからこそめいいっぱい楽しむことができる遊びを各々見つけて、何時間も夢中になっているのでした。
そんな遊び場の傍に立てかけられ、子どもたちを見守っていたのは、今回がはじめての出番となったプレーカー活動の看板。これは先日のワークショップで子どもたちが色付けしたものです。
「プレーカー」「あそぼ!」の文字が、陽を浴びて生き生きと輝いていました。
そして最後に、もうひとつのJINSからの贈りものである「巨大かるた」を使って、チーム対抗で遊ぶこととなりました。
これは2019年にJINSが制作したオリジナルかるた「見る育かるた」を拡大して縦47.5㎝、横35㎝のサイズにした、その名も「ビッグ見る育かるた」(詳しくはこちら)。
広い公園のあちらこちらに絵札を配置して、読み札が読み上げられると同時にそれらを目がけて子どもたちが一目散に駆け出します。大きな札を抱えて互いの陣地に運び合い、体の大きさや年齢に関わらず、みんなダイナミックに体を動かしながら対決は大いに盛り上がりました。
お披露目会を終えて、まっくさんからも感想のことばをもらいました。
まっく「楽しかったですね。わたしたちも、子どもたちがより自由に遊べる環境を作るために活動してきましたが、『目の健康』というわたしたちには無かったおもしろい視点で、子どもたちの外遊びの支援を考えてくださる方々がいるということはとても嬉しいことだな、と感じました。今日は夏休みなので、普段は学校がある子たちもたくさん来てくれて、幅広い異年齢で遊べる機会にもなったことも良かったなと思います。これからもプレーカーを活用させていただきます!」
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このプロジェクトでは、プレーカーの寄贈をすすめるにあたって、「外遊び」が子どもたちの成長にとってどれだけ大切かということをたくさん学んできました。
しかし、実際に太陽の下で、思いっきり遊びまわる子どもたちを見て再確認したのは、外遊びは何も特別なことじゃなく「本来あるべき、とても自然な姿」であるということ。子どもたちも外遊びの機会を求めていることが本当によくわかりました。
JINSでは今回のプレーカー寄贈をスタート地点として、今後もさまざまなパートナーと外遊びの啓発活動を展開していきます。ぜひご期待ください!