JINS、引っ越します。

——JINSさん、8年ぶりにお引っ越しするとうかがいました。田中(仁)社長はじめ、相当な力の入れようだそうで……?

はい、そうなんです! どちらの会社さんもそうだと思いますが、JINSにとっても本社移転は一大イベント。

中でも今回は、メガネ業界に乗り込み20年が経ったJINSの「これから」を決める——それくらいおおきな意味を持つ引っ越しになるだろうと、社長の田中をはじめ、プロジェクトメンバー全員が意気込んでいます。

こちらが引っ越しプロジェクトメンバー。(写真左から)広報いけっち、人事さいちゃん、システム洋二郎、リーダー穴澤、人事Sam、設計はぎさん。JINSの過去のオフィス移転を先導してきたメンバーで、今回のプロジェクトも「自然とあつまった」のだそう

——JINSの「これから」を決める?

ええ。その話の前に、まずはわたしたちが働いている現オフィスのご紹介をさせてください! ここに現在のJINSがどんな会社か、なにを大事にしてきたかが詰まっていますから。

わたしたちのオフィスは、飯田橋西口再開発のランドマークとして2014年に完成した「飯田橋グラン・ブルーム」最上階の30階と29階にあります。こだわりにこだわった設計が評価され、2015年の「日経ニューオフィス賞」では最高峰の経済産業大臣賞をいただきました。

——おぉ! どのようなこだわりが詰まっているのでしょう?

ちょうどその年に制定された「Magnify Life(人々の人生を拡大する)」というブランドビジョンの体現を目指しました。「社員の才能・感性とチーム力を拡大させること」をゴールに掲げ、「Open Space(オープン・スペース)」をコンセプトに設計しました。ざっくり言うと、社員同士のコラボレーションをうながす仕組みが散りばめられています。

たとえば、メインとなる執務スペースには視線を遮るものがほとんどありません。

広々とした執務スペース

社長室も会議室もすべてガラス張りです。また、ほとんどの職種がフリーアドレス(決まった席がなく、空いている場所で自由に働ける)となっています。

——廊下もずいぶん広いですね。

はい。この空間も社員から好評なのですが、じつはここ、雑談スペースとしても機能しているんですよ。執務スペースとは床の素材も変えて、見た目にもゾーンをわけてみました。

ただ、実際に仕事をしてみると、オープンスペースゆえにちょっと集中しづらい……ということも分かってきて。

いけっち「社員が仕事に集中できてないことは、はからずも『JINS MEME(JINS開発のメガネ型ウエアラブルデバイス)』を使った実験でわかった」

そこで4年前に増床し、「世界一集中できるワークスペース」を掲げて「Think Lab」という空間を29階につくりました。コミュニケーションの30階、集中の29階。この両方でイノベーションを起こそう、というわけですね。

——広くておしゃれで機能的。お仕事ドラマに出てきそうなオフィスですね。窓の外に目を向ければ、東京の街を一望できて気持ちがいい。

すぐ下には武道館が。

いい眺めですよね。実際に、ドラマや雑誌の撮影でも引き合いがあったりするんですよ(笑)。でも、この〝高さ〟はたまたまなんです。引っ越しの検討段階から「コミュニケーションを取りやすくするためには全員ワンフロアがいいよね」と話していて。必死にさがした結果、建設中だったこのビルの最上階を借りることができました。

もうひとつ、ちょっとおもしろい写真をお見せしますね。

ここに画像タイトルを入れます。

——群馬ナンバーのレトロな車。……あ、ドアの文字。これはもしや?

最初のオフィスです。といっても「JINS前夜」。代表の田中が1987年に群馬県前橋市で立ち上げた「有限会社ジェイアイエヌ」は、最初は雑貨事業を行っていて。この写真は会社設立前年のものです。「JIN PRODUCTS(ジン・プロダクツ)」という屋号で、田中個人が雑貨販売の事業をしていたときに借りていた物件ですね。

——へえー! 今のオフィスとのギャップにロマンを感じてしまいます。

この後、2001年にメガネ事業に参入して、以降何度も引っ越しを重ねます。2008年には東京に本社を移したのですが、そうですね……たとえば2010年のオフィスはこんな感じでした。

そして、2011年はこんな感じ。

——1987年、2010年、2011年、2014年と4枚の写真を比べてみると「ザ・成長企業」ですね。次のオフィスはどれくらいグレードアップするんでしょう。たのしみです!

ふふふ。では早速、次の予定地にご案内したいと思います。場所は同じ千代田区内、このビルから歩いて30分ほどの「神田錦町(かんだにしきちょう)」です。

神田は東京を代表するオフィス街のひとつであり、歴史ある下町ですね。新オフィスへは、引っ越しプロジェクトのチームメンバー6人でお連れします。せっかくなので、歩いていきませんか?

——お願いします!

この引っ越し、じつはJINS初の……?

あらためまして、こちらが現オフィス。飯田橋駅徒歩1分、2014年に完成した「飯田橋グラン・ブルーム」です! いわゆる、インテリジェントビル(インフラやセキュリティなどが強化されたオフィスビル)ですね。

現オフィスがある飯田橋グラン・ブルーム

飯田橋駅はJR中央・総武線、さらに地下鉄が4路線も乗り入れていて、とても交通の便がいいんです。ビジネス街でありながら、かつて花街として栄えた神楽坂へもオフィスから徒歩3分! おいしいお店もたくさんあって、最高の立地です。

ここから神田エリアへと、南東の方角に進んでいきましょう。

こちらの「俎橋(まないたばし)」を渡ったらもう「神田神保町(じんぼうちょう)」です。

神保町といえば、本とカレーの街。ここからだんだんと古本屋さんが増えてきますよ。ちなみに俎橋は、江戸時代からこの名前で、この場所に架かっていたと聞いたことがあります。

——江戸時代から! たしかに皇居(江戸城跡)も近いですし、歴史のある街なんですね。……だんだん街の雰囲気が変わってきました。わー、いろんな専門古書店が並んでます。

新オフィスでは休み時間に書店に寄れたら、なんて想像しています。そんな優雅に過ごせるかはあやしいところですが(笑)。とりあえず、ランチは充実しているようなのでみんな安心しているんです。JINSは、とにかく食べるのが好きな社員ばかりなので。

たしかにおいしそうなお店がたくさんありました。さて、新オフィスはそろそろかな?

神保町交差点、三省堂書店神保町本店を過ぎてしばらく歩くと、新オフィスが見えてきますよ。……ああ、見えてきました。あれです、あれです。

——?(それらしきインテリジェントビルが見当たらない)

ほら、そこに!

——そこ???

こちらです!

——……こちら、ですか? 

そうです。1999年竣工、地上9階地下1階のビルで、全棟まるっと借りることになりました。アクセスとしては、都営新宿線の小川町が徒歩5分、東京メトロの神保町駅と竹橋駅がそれぞれ6分。JR神田駅だと11分ほどかかります。……どうされましたか?

——い、いえ、じゅうぶん立派なビルなんですけど。JINSさんの過去の引っ越しを見せていただいて、さらに拡大するのかな、どんなおおきなビルになるんだろうと思っていたので少しおどろきました。これ、もしかして、狭くなってません?

鋭い。おっしゃるとおりで、じつは、JINS史上初の「減床」なんですよ。飯田橋の2分の1ちょっとの面積になります。

しかもこの建物、再開発予定エリアにあるため将来的に取り壊される可能性があるんです。予定通りに進めば、いずれまた出ていかなければなりません。

——ええっ。建物は古くなる、面積は狭くなる、立地もやや不便になる、そして取り壊しが決まっている。……だれが、どうしてそんな意思決定を?


それは、オフィスに戻ってあらためてお話ししたいと思います。


〜次回へつづく〜