半永久的に続けられる取り組みを目指して

中国JINSが、上海にある同済大学の協力を得ながら桜の植樹をはじめたのは2018年のこと。

そもそもなぜ、桜の木を植えることになったのでしょうか。
中国JINSで、業務改革室や店舗設計を担当している甲斐に話を聞きました。

甲斐:「JINSは中国で170店舗以上を展開していて、上海に中国本社を構えています。そこで、日本発の企業らしい社会貢献活動、つまり『企業が果たすべき責任』として誇れる取り組みを始めたいという話があがったんです。
勢いを持って始まった社会貢献活動が、単発で終わってしまってはいけないと感じていて。一度きりではなく、続けられるような取り組みがいいと考えました。
結果、その年にオープンした店舗数と同じ数の木を毎年植えていくことに。そうすればJINSが続く限りは半永久的に活動が続いていきますよね。桜にしたのは、総経理である宇部の『中国の方に日本の文化を体験して欲しい』という思いからです」

日本らしく、ずっと続けられるような活動として始まった桜の植樹。上海にある、同済大学の敷地に木を植えていると言います。

甲斐:「同済大学は上海でも指折りの大学で、国内外からたくさんの学生さんが集まっているんです。地域の方など、学生さん以外も自由に出入りできるので、植樹をするのにぴったりな場所だと思いました。桜のまわりが多くの方にとっての憩いの場になってほしいですね」

お花見計画も進行中!

桜を植える背景には、「日本らしい」という理由のほかに、ある「目標」があったといいます。

甲斐:「実は、桜が成長したらみんなで日本式のお花見をするというのが目標なんです。中国のみなさんにも日本のお花見文化を感じてもらいたくて。
中国にも、桜並木はたくさんあります。けれども、いわゆる日本のお花見のようなスタイルではない。ござやレジャーシートを敷いて、お弁当を用意して、桜を見ながらワイワイして……っていう慣習はないんですよね。植樹を手伝っていただいた、以前からともに社会貢献活動に取り組んでいるパートナー企業の方や同済大学の学生さんと一緒にお花見ができたら素敵だなと思っています」

お花見を目標として、植樹をおこなってきた上海JINSチーム。2018年と2019年には合計140本、コロナ禍による中断をはさみ、4年ぶりとなる今年は34本の桜を植えたそうです(2022年12月31日時点の店舗数から算出)。

甲斐:「今年は、植樹ができなかった4年間のぶんをまとめて植えました。店舗と桜は同時に成長していきますから、毎年の植樹は社内にとっても一大イベントなんです。『桜を植えられるようにどんどん出店していくぞ』と、店舗や本部で働くスタッフのモチベーションを上げてくれると思っています」

写真中央にいるのが甲斐

コロナ禍を経て久しぶりに訪れたというキャンパスで、コロナ前に植えた桜の成長に驚かされたと言います。

甲斐:「ほんの4年前に植えたはずなんですが、以前植えた木々は幹が圧倒的に太くなり、葉ぶりも横に大きくなっていたんです。感動しましたね。
コロナ禍の4年間って、停滞を感じた人も多い期間だったと思うんです。わたし自身、焦りはあるのに成長実感が薄いことによるフラストレーションを感じることもあって……。外的環境の影響が大きすぎて『この4年ってなんだったんだろう?』と思いがちでしたが、桜の木は4年間でちゃんと成長しているんですよね。自分も成長して追い付かないと、と身が引き締まる思いでした」

4年前に植えた桜

甲斐:「一緒に植樹をしていただいている、パートナー企業の方々ともほんとうに久しぶりにお会いしました。この活動が継続的にできるように、今後は大きなパンデミックとか、ロックダウンとかがないといいですね、とお話しして。来年がほんとうに楽しみです」

春には、美しく花を咲かせた木の下で楽しい日本式の宴が開かれているかもしれません。
JINSが見据えるのは、国や文化を超えてお互いを尊重する社会。これからも、中国JINSは植樹の活動を続けてまいります!