2024年、新年の仕事はじめ。社長を筆頭にして「JINS GO」のメンバーたちはすぐさま被災地支援の検討を開始しました。
茂木:「『JINS GO』はこれまで防災イベントに参加するなど、『もしも』が起こったときの支援について考えてきました。連日のニュースで今回の被害状況の深刻さを知って、早急に話し合いをすすめたのです」
日ごろの備えのおかげで初動がはやかった「JINS GO」のメンバーたち。ただ、被災地への出動は「すぐに」とはいかなかったそう。
茂木:「震災が起こったときになによりも大事なのは身の安全を守ること。そして暮らしに最低限必要な食料、水、衛生用品などの物資の確保が優先されるべきなので、タイミングは慎重に検討する必要がありました。
地震の影響で道路が寸断されるなど、交通状況もわるかったため、現地の負担にならないよう、受け入れ体制が整うまで待つことにしました」
しかるべきタイミングで支援に向かうべく、茂木は輪島市災害対策本部に連絡。「JINS GO」の取り組み内容を説明したところ、「ぜひ来てください」との声をいただきました。こうして刻々と変化する現地の状況やニーズを汲みながら、「見える安心」を被災地に届けるスケジュールが決まっていったのです。

※交通状況や現地の要望などに応じて、事前に組んだ予定に変更をくわえながら支援をおこないました。
「悲観にくれていても仕方がない」。被災地で出合った前向きな笑顔
支援初日の2月7日。メガネのレンズやフレームといった支援物資にくわえ、スタッフの生活を支える食料、水、寝袋、携帯用トイレなどの必需品も載せて、「JINS GO」は本拠地である群馬県前橋市を出発しました。
輪島市へ向かう道中、一部通行止めや規制などがあり、ひどい渋滞に見舞われる場面も。約100キロにおよぶ金沢市から輪島市の区間を6時間近くかけて、目的地である輪島市立東洋中学校に到着しました。
茂木を含む2名のスタッフはさっそく支援を開始。メガネの無償提供や、他社製品を含めたメガネの修理・調整を無償でサービスする取り組みを展開しました。
すると、避難所の館内放送を聞いて支援情報を知ったひと、避難所に駐車している「JINS GO」の赤いボディに目が止まったひとたちが次々と訪れ、あっというまに列をなすほどの人だかりになったそう。
茂木:「予想以上の反響にびっくりしました。2名体制で対応するつもりが、すぐに手が足りなくなってしまって。急遽、金沢市内のJINS店舗に応援をお願いして、常時3名で接客するようにしたのですが、それでも余裕がないほどでした」


2月上旬から3月下旬にかけて、輪島市立東陽中学校をはじめ11カ所の施設をめぐった「JINS GO」。家屋の倒壊が相次いだエリアだったため、家にメガネを置いたまま避難したひと、メガネが壊れてしまったひとなど、たくさんの方々にお越しいただきました。
約700名ものお客さまがサービスを利用され、「生活しづらくて困っていたから助かったよ」などの声がおおく寄せられたそうです。
茂木がとくに印象に残っているのは、お客さまの表情だったといいます。
茂木:「みなさん、あかるかったです。壊滅的な被害を受けた街の状況とは対照的な雰囲気でした」
街はどのような様子だったのでしょうか。たずねると、茂木はこう続けました。
茂木:「大規模な火災のあった輪島市の観光名所『朝市通り』は、一面焼野原でした。周辺の建物がおよそ300棟焼失したそうです。『JINS GO』に来て話してくださったお客さまの言葉を借りると、まるで『ゴジラが来たあと』のような光景で、実際に目にしたときは絶句しました。
そんな日常を失った街なみのなかで、みなさんの笑顔が一層まぶしく感じられました。おそらく、『悲観にくれていても仕方がない』と自らの気持ちを奮い立たせているひとがおおかったのではと思います」

あらためて実感した「JINS GO」の意義
輪島市での支援活動を終えたいまの想いを茂木は語ります。
茂木:「ほんとうに多くの方に喜んでいただけたぶん、交通状況など自分たちではコントロールできない事情があったとはいえ、一日でも早くお役に立てていたら……という気持ちになりました。
同時に、メガネの移動販売車をもつJINSだからこそできた支援だったと手ごたえも感じました。会社の強みと今回の学びを活かして、今後も支援を必要としている自治体がいらっしゃれば出動を検討していきたいです」
「JINS GO」発足後、初の取り組みとなった被災地支援。よろこんでくださったお客さまの笑顔や、SNSに投稿された「JINSの真っ赤なマイクロバスを見かけて、能登に来てくれたんだと嬉しくなった」「ありがとう」「かっこよかったです!」などのポジティブな反応が、これからの「JINS GO」の活動をささえる励みになっています。
メガネの移動販売車「JINS GO」はこれからも「見えるよろこび」を届けるために走りつづけます!
