ハマ·オカモト(以下、ハマ):いやぁ、おもしろかったですね。結果的に20代〜30代の方に話を聞くことが多く、過去の特集と比べてもなかなかフレッシュな内容になったんじゃないでしょうか。
今回は中古フィルムカメラを扱う三葉堂寫眞機店(みつばどうしゃしんきてん)の松田拓也さん、モーニング娘。サブリーダーの石田亜佑美さん、Sexy Zoneの菊池風磨さんと対談しました。武術家の石井東吾先生にはエッセイを書いていただきましたね。
それぞれの対談では、あえて答えを持たずに臨んだんです。特集テーマ「続ける、変わる、続ける。」に対してどう返してくるのか、純粋な気持ちで聞きたくて。
4人を通して感じたのは、「人生に傾向と対策はない」ということ。たとえ同じ職業でも、全く同じキャリアって存在しないんですよね。人生のターニングポイントは、こんなにもオリジナリティがつまっているのかと思いました。

【三葉堂寫眞機店 / 松田拓也さん 】
ハマ:フィルムカメラは、僕が音楽以外ではじめて見つけた「趣味」。三葉堂さんは以前からオンラインショップを利用していました。でも、お店にうかがったのはこの取材が初めて。
お話した松田さんとは、今もちょくちょく連絡をとってますよ。ありがたいことに、記事を読んだOKAMOTO’Sのファンがお店を訪ねてくれているそうです。フィルムカメラは放っておくと廃れてしまう文化。「続けていかねば」という思いもあったので、フィルムカメラと出会うきっかけを、今度は僕がつくれたのなら嬉しいです。

あれからフィルムカメラの知識も増えたので、今日の取材*で使っていたカメラも全部わかったんですよ。そういうのはなんか、うれしいですね。
*・・・この振り返りインタビューは、菊池風磨さんとの対談直後に行いました。

【武術家 / 石井東吾さん】
ハマ:ブルース・リーが始めた武術「ジークンドー」のインストラクターでいらっしゃる石井東吾先生。エッセイのコメントにも寄せましたが、それまでぼんやりと生きていた僕は石井先生に目を醒ましてもらったように思います。
エッセイには「続けることを難しいと感じたことがない」と書かれていましたね。それを読んで、「好き」という言葉にもグラデーションがあるんだと思いました。

「続ける」をこのレベルまで突き詰めると、「俺がやらなきゃ誰がやるんだ」という境地に至るんでしょうね。もはや使命感すら感じます。特にジークンドーは指示書もメモ書きもない、口頭伝承で受け継がれる武術。「続ける」の究極にいらっしゃるのが、東吾先生なんだと思いました。
【モーニング娘。 / 石田亜佑美さん】

ハマ:石田さんが持っている独特の抜け感を、ファンの間では好意的に「だーいし感」って呼んでるんですけど……あの日も「だーいし感」、すごかったですね。

石田さんの魅力はやっぱり、バランスにあると思います。「みんなのお姉さん」と「石田亜佑美そのもの」がうまく両立してるんです。久しぶりに会ったらモーニング娘。のなかで一番お姉さんになっていました。そこに驚きましたね。
あまりにもバランスが良すぎて、結局どっちの石田さんに話せば良いか分からなかった(笑)。職業アイドルの石田さんか、素の石田さんか。随所に出ていた「だーいし感」、本当はもっとツッコミたかったんですけどね。「なに言ってんだ?」って(笑)。それさえも手探りになるくらい、ナチュラルな部分が垣間見えました。
【Sexy Zone / 菊池風磨さん】

ハマ:いやぁ、おもしろかったです。風磨くんとはもう7,8年の仲になりますけど、公の場で話したのは今回がはじめて。久しぶりに会っても時の経過を感じないから、不思議な関係だなぁと思います。今回も対談とはいえ、お互いにプライベートと同じテンションで話せました。
特集テーマ「続ける、変わる、続ける。」で言えば、彼の身にはそれが常に起こり続けているじゃないですか。どこから抽出しようかと迷いましたが、彼の方からいろんな角度で話してくれたように思います。

あとは石田さんと同じく、風磨くんもバランスがすごいですよね。アイドルとして見せている「菊池風磨」はもちろんありますけど、話しているうちに「ただのお兄ちゃん」に戻る瞬間もあって。石田さんにしろ風磨にしろ、10代の頃からステージに立ち続けているトップアイドルにも関わらず、等身大の自分を出せていた。それって本当にすごいことだと思います。
【編集長任期を終えて】
ハマ:1時間もゆっくりお話できる機会って、そうないですからね。良い意味で「職権濫用」させてもらった4ヶ月間でした(笑)。
インタビューでこんなことを言うのは御法度かもしれませんが、彼らにもまだ言葉にできていないものがあるように思います。僕も職業柄、取材で回答に困ることがあるのでなんとなくわかるんです。
でも人が変わったきっかけ、ついつい続けてしまうことって、必ずしも理路整然と説明できるものではないんですよね。並外れた思いこみとか、思い切りの良さとか、そういう精神的なもので人は動くことがある。今回の4人は特にそれが強かったです。実際に話してみて、やっぱり尊敬できる方たちだと思いました。
表向きには「かっこいい」または「かわいい」自分であり続けるため、彼らが裏側でどういうものと向き合っているのか。テレビやネットで見せている一面だけではなく、この特集ではその舞台裏、「好き」を仕事にすることの偉大さや、まだ言語化されていない意思の強さを読み取っていただけたら嬉しいです。
4ヶ月間、ありがとうございました!
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「続ける、変わる、続ける。」を体現している方のもとへみずから足を運び、純粋な気持ちで耳を傾ける。どんな現場でも、等身大の自分でいる。
そんなハマさんの姿勢に、移り変わりの激しい音楽の世界で長く活躍されている要因が隠されているように思いました。ハマさんからオファーを受けた4名のみなさんも、「ハマさんからのご依頼ということなら、ぜひ!」とご快諾されていたのが印象的です。
まさに「言うは易く行うは難し」な、「続ける」という言葉。
そこには、続けるために変わる部分と変えない部分、2つが共存していることを学びました。
JNSも、引き続きお客様のために時代やニーズに合わせてスピーディに「変えていく」ことと「変えずに守っていく大事なこと」、その両方を意識しながらアイウエアをご提供してまいります。
ハマ·オカモト編集長、すてきな4ヶ月をありがとうございました!