JINS SAUNAの開発がスタートしたのは2021年夏のこと。

当時、世間ではサウナへの関心が急速に高まり、JINS社内でもサウナのもたらす心身への効果に注目が集まっていました。コロナ禍に在宅時間が増えたことで多くの人が入浴の時間を大切にする動きもあり、サウナやお風呂用のメガネを作れないかという機運が社内で高まったのです。その時、声を上げた一人が清水さんでした。

清水「ある時本部社員が参加する朝礼で、CEOの田中が『好きなことは創造性の原動力になるから、ぜひみんなも自分が夢中になれることを突き詰めて、業務にも活かしてほしい』と話していたんです。僕が好きなのはサウナだな、と。ちょうどサウナ仲間からも『サウナで使えるメガネが欲しい』と言われていました。サウナメガネを作りたい、と社内で話をしていたら、僕も商品開発のメンバーに加わることができました

マーケティング部清水さん

普段はプロモーションを担当している清水さん。完成した商品をお客さまにどう届けるかが主な仕事で、商品開発から携わる機会はそう多くない。こよなく愛するサウナの魅力を、プロジェクトメンバーに知ってもらいたい。まずは現場だということで、みんなで一緒にサウナに行くことを提案しました。サウナ超初心者のMD叶さんのためにホワイトボードで「サウナの入り方」を一から力説。会社近くのサウナへと足を運びました。

「最初は“ととのう”があまり良くわからなかったのですが、徐々に気持ちいい感覚がわかっていきました。実際にサウナに行ってみると、サウナ専用ではない普通のメガネをかけている人を目にするんです。本来、普通のメガネは高温によってゆがんだりレンズコーティングがひび割れたりする可能性があるので、サウナでかけることは推奨されていません。見える状態へのニーズを実感したとともに、既存のサウナ用メガネに対する不満があるはずだと思いました」

北垣内「私はサウナ経験者だったのですが、初めて行く浴場で“見えない”状態だと、どこにサウナ室があって水風呂があって……と位置関係を把握するのが難しい。サウナ室に置いてあるテレビや温度計、12分計も見えない。段差なども気づきづらいから怪我をするリスクもあります。リフレッシュしたくてサウナに行っても、神経を使うと疲れてしまいます。サウナに“見える”状態で入るためのサポートがしたい、と改めて実感しました」

デザイナー北垣内さん

サウナに行ったり、サウナーの方々に話を聞いたり、SNSでの声を集めたりするなかで、JINS SAUNAに生まれたコンセプト。それが「サ陸両用」でした。

清水「サウナーにとってサウナって特別なことではなくて、あくまで“日常”なんです。仕事帰りに寄る人も、隙間時間にさっと入りに行く人もいます。サウナでしか利用できないメガネだと、普段用のメガネをかけて、もう一本サウナ用のメガネを持ち運ばなければなりません。家にサウナメガネを忘れてしまったから、今日は行くのを諦めよう、なんてことはもったいない。日常でも使えるメガネでかけたままサウナに入れたら、思い立ったときにすぐ行けます。日常とサウナ、シームレスな使い方ができるメガネを作れたらいいなということになりました」

JINS以外ですでに商品化されているサウナ用のメガネはありました。しかし、あくまでもサウナ専用。日常で使うことが想定されていないものがほとんどだといいます。

「既存のサウナ用のメガネは、度数が-3.00のもの、-5.00のもの、とあらかじめ決まっているものが多いんです。度数が合っていなければ、日常生活では危なくて使えません。JINS SAUNAは度数を一人一人に合わせてカスタマイズできるのが大きなポイント。左右差や乱視にも対応できます」

MD叶さん

日常でもサウナでも使いやすいものにするには、デザインも重要。ということで、北垣内さんと清水さんは錦糸町の銭湯サウナに。訪れる人の雰囲気やファッションを一緒に観察して、若者にも拡がるサウナカルチャーのエッセンスをデザインに取り入れていったといいます。

北垣内「サウナでかけられているメガネはフレームが透明のものや細いものなど、存在感を消しているデザインが多い印象を受けました。『お風呂でメガネをかけていたら笑われた』というSNSの投稿も目にしたんです。だからお風呂でもサウナでも、メガネをかけるのが新しい常識だよって堂々と発信できるデザインにしたいと思って。JINS SAUNAはあえて太めのフレームを取り入れて、存在感を出すことにしました。日常で使っていても、おしゃれに見えることは最も大事。耐熱性を担保するためにフレームにコーティングができない分、磨いて艶がある部分とマットな部分、2つの質感を組み合わせて立体感を出し、上質感を演出しています」

クラシカルなデザインにこだわった4つの玉型に、カラーは定番色ともいえるブラック・ブラウンに加えて、カーキの3種類。カーキはサウナの“本場”フィンランドの森の中をイメージさせるような落ち着きのある色となっています。

メガネが入るのは、オレンジ色と茶色を組み合わせたパイル地のソフトケース。このデザインはサウナマットから着想を得たといいます。

清水「メガネ本体が日常でも使えるようサウナっぽさ控えめのデザインにした分、ケースはサウナを愛する人たちのために、サウナ感を存分に出したいね、ということになったんです。サウナマットといえば、このオレンジ色と茶色の組み合わせ。サウナグッズとして持ち歩きたくなるような、アイコニックなものにできたと思います。僕はこのケースを見るだけで、サウナを思い出して心が落ち着きますね(笑)

サウナは心を休められる場所。JINS SAUNAとともに生活することで、日常でも癒しを与えられたら、そんな思いが込められています。

画像右は清水さんの私物のサウナマット。「サウナマットといえばこの配色なんです」(清水)

こうして完成したJINS SAUNAは2月6日、フロの日に発売。一週間前のリリース発表とともにSNSを中心に話題を集め、発売日は平日月曜日だったにも関わらず、多くの方々がJINS SAUNAを目当てに店頭に足を運んでくださいました。実際に使用した人からはたくさんの反響があり、予想外のニーズにも気付かされたといいます。

清水「『いままではお客さまの顔がはっきり見えていなかったけれど、気持ちよさそうな顔がよく見えて嬉しかった』という熱波師さんなど、サウナ施設で働いている方たちからも感謝の言葉がありました。あと、サウナ後のご飯『サ飯』もサウナ―にとって楽しみのひとつですが、レンズが一気にくもってしまう熱々のラーメンでも、JINS SAUNAならくもりにくいので快適においしさを堪能することができるはずです。サウナーではない方からも、自宅のお風呂で本や動画を楽しむときに使っています、という声をもらっています」

「くもりにくい」メリットで日常生活でも活躍するJINS SAUNA。とはいえ、清水さんがいまJINS SAUNAと行きたい場所はやっぱりサウナ。最後に、いま行きたいサウナについて聞いてみました。特に“アウトドア”のサウナに注目しているそうです。

清水「アウトドアのサウナって景色が醍醐味。外気浴するときに自然がクリアに見えると一層癒されますね。いま一番行きたいのは、長野県の野尻湖のほとりにある『The Sauna』。フィンランドの小屋さながらのサウナで、薪に火をつけてロウリュ(サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる)して、日中は水風呂の代わりに野尻湖に飛び込むこともできるんです。木々に包まれて森林浴をして、夜は星空を眺めて……。景色を存分に楽しめたら、気持ちよさは増すはずです」

「湖に飛び込むときはメガネが飛ばないように気をつけなきゃな」(清水)「メガネが飛ばないようなバンドをつくったほうがいいのかなあ」(北垣内)などと話が弾みます

日常とサウナをつなぎ、あらゆるシーンを快適にしてくれるJINS SAUNA。

ちなみに、サウナのもたらす効果に着目しているJINSは、東京本社の新オフィスにもサウナを導入することが決まっています(くわしくはこちら)。

そんなJINSが気合いを入れて作ったJINS SAUNAを、ぜひチェックしてみてください!